大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和33年(う)137号 判決

(併し)職権を以て原判決における法令の適用を査閲するに、原判決は其の第一乃至第三の各横領の事実につき之を包括して刑法第二百五十三条を適用するに止まり、同法第四十五条を適用していないことが明らかである。してみれば原判決は第一乃至第三の各事実を包括して一個の犯罪と認定したものと謂わねばならぬ。併し包括一罪と言い得るためには数個の行為が(一)同一罪質に属し(二)単一の犯意か若くは継続した犯意に基き(三)各行為が同一の社会的事実関係を基盤とし犯罪の態様を同じくする連続した行為であり(四)之を包括して一個の犯罪として処罰の対象とすべきものと認められることを必要とするところ、原判示の三個の業務上横領は、昭和三十一年三月十八日頃(原判決第三)同年五月十九日頃(同第一)、昭和三十二年五月十日頃(同第二)の各犯罪であつて、たとえ同一罪質に属し、犯罪の態様を同じくするも、右は到底連続した行為ではなく且つ単一の犯意若しくは継続した犯意に基くものではないこと記録上明らかである。そうだとすれば右三個の行為は包括一罪たるの要件を満していないから、之を包括一罪とした原判決は法令の適用に誤があり、此の誤は処断刑の範囲に差異を生じ、判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決は此の点において破棄を免れない。

(裁判長判事 山田義盛 判事 沢田哲夫 判事 辻三雄)

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